歪んだ神経症の「思い込み」をいかす方法 76

counselor

2012年06月28日 07:38

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今日も歪んだ神経症の「思い込み」をいかす方法について、述べます。

神経症の人は歪んだ思い込みに支配され、不安で身動きできない状態です。ただし不安になっているときは、歪んだ思い込みによる心配そのものはある程度ストップもしています。

不安は心配そのものを、ある程度ストップさせる効果もあるのです。
神経症の人は、ものごとを考えがちです。その結果、心配であり不安な状態になるのです。
その考えそのものを、ある程度ストップさせるのが心配であり不安です。

正確に言えば心配や不安の持つ、言いしれぬムードです。
その言いしれぬムードは、さらに神経症の人を現実に直面させなくもしているのです。

それに対して周囲の人は、「考えすぎだ!」と繰り返しがちです。
その結果、心配や不安の言いしれぬムードはさらに増大します。

このような心配や不安の言いしれぬムードは、身体にでます。
具体的には心臓のドキドキ感、喉に何かつかえた感じです。
最も新しいカウンセリングであるハコミ療法や、フォーカシングはこの感覚にアプローチします。

その身体感覚から、神経症からの解放を目指す方法です。
そこにハコミ療法や、フォーカシングの新しさがあります。
この人に対しても周囲の人が「考えすぎだ!」と繰り返すことなく、身体感覚にもとづいたアドバイスが必要だったのです。

認知行動療法では心配や不安に実際に、向き合うのです。
心配や不安の言いしれぬムードが増大しても、向き合うのです。これがポイントです。

向き合うと、一つの大きな事実に気付きます。
それは「心配していたほどのことはない」という、気付きです。

神経症の人の「思い込み」は、大きく歪んだものです。
現実にそれに向き合うと、「心配していたほどのことはない」ということの気付きます。

次に歪んだ神経症の「思い込み」から逃げないで、行動するのです。
パニックを恐れて電車に乗れない人は、電車に乗ります。

不潔感に苦しむ人も手を洗うことは、普通に一回ですまします。
このように歪んだ神経症の「思い込み」から逃げないで、普通に行動するのです。

いかし多くの場合、歪んだ「思い込み」に支配されて逃げがちです。
パニックを恐れて電車に乗れませんし、手を洗うことも普通に一回ですみません。

そのために、いろいろな工夫が必要です。
パニックを恐れて電車に乗れない人は各駅停車から、電車に乗るようにします。

それもできない人は、パニックになったときにそれを補助する人と電車に乗ります。
このような工夫が必要です。

手を洗うことを普通に一回ですませられない人も、次のように工夫します。
それは水道のじゃぐちから水を出す時間を、30秒以内に決めるのです。

時計を用いてじゃぐちから水が30秒出たら自分もしく
は、家族がじゃぐちを閉めます。
または水を出す時間を調整できるじゃぐちを、利用することもあります。

このように行動により、困ったことを修正するのが認知行動療法の行動療法の部分です。
繰り返しになりますが認知行動療法は認知療法と、行動療法によるものです。
認知療法は言語的なものであり、行動療法は非言語的です。

神経症の人は不安や恐怖をイメージとして、視覚化したくありません。
それゆえに神経症の歪んだ「思い込み」を、言語的なもののなかにひそませるのです。

認知行動療法とは先ず認知療法により、言語的なもののなかにひそんだ神経症の歪んだ「思い込み」を正します。さらに次に行動療法により、非言語的な神経症の不安や恐怖を行動により改善するのです。

このように神経症の歪んだ「思い込み」を正すために、先ず言語的なもののなかにひそんだものとして扱います。最終的に不安や恐怖に直面し、行動により改善をはかるのです。これが大切な、道筋です。

心配し過ぎの人は、心配になると言葉で解決方法を考える。
これは心配を、言語的なもののなかにひそませてしまうだけなのです。

それは直接、不安や恐怖に向かい合わないのです。不安や恐怖を実感できないのです。
神経症の人は不安や恐怖を実感しませんから、本来その不安や恐怖はそれほど心配することではないということに気付いていません。その学習ができていません。よって、迷路を抜け出せないのです。

このことは現在の脳生理学でも心配し過ぎの人は不安な時に脳の言語的機能部位が優位であり、感情的機能部位は不活発であることからも裏付けられている。

神経症に苦しむ人は(言語による)思考によって、現実の困難に対処しようとします。
しかしながらそれは、本当の意味での解決にはなりません。

神経症の本当の解決は直接、不安や恐怖に向かい合うことです。
そうやって不安や恐怖を実感して、本来その不安や恐怖はそれほど心配することではないということに気付くことです。

歪んだ神経症の「思い込み」をいかすには、不安や恐怖を抑制することはマイナスです。
逆に不安や恐怖を、表現すべきです。

前者のような不安や恐怖を抑制する姿勢が、抑制的なスタンスによる解決です、
逆に後者のような不安や恐怖を表現する姿勢が、表現的なスタンスによる解決です、

神経症の人は、抑制的なスタンスによる解決を考える人が多いのです。
なおこの抑制的なスタンスをとり続けることは、自分自身の感情を麻痺させてもしまいます。

抑制的なスタンスは自分の本当の気持ちを、横に置きます。
その結果、自分自身の感情を麻痺させてもしまうのです。

いきいきとした感情を、失って
しまいます。
それだけではなく、本当の自分を見失う方向に歩みだしてもいるのです。

いきいきとした感情を麻痺させないで、感情そのものを失なわないためには次の方法が有効です。
それはメモ法です。

メモ法は気持ちが動揺したときに、その感情をメモする方法です。
毎日、行うことが大切です。

このメモ法により多くの場合、一つのことに気付きます。
それは気持ちの動揺は、ほんのいくつかの原因により起こるということです。
けっして、多くの原因ではありません。

そしてそれはより正確には、ほんの少しのいくつかの原因により起こります。
それに気付いたときに、「何とかなる」と思えるのです。

そのように「何とかなる」と思えたときに、次に進みます。
それはその解決方法を、考えるのです。

前述しましたように具体的にはメモ法を毎日、行うことが大切です。
そのメモされたものに対して、それぞれ解決方法を考えるのです。

その解決を考えるための、10の道しるべがあります。
その道しるべは、とても有効です。

身体の痛みは、身体の悪い部分を教えてくれます。
感情も、気持の動揺を教えてくれます。

最も大切なことは感情は、自分が変化することの必要性を教えてくれます。
自分自身が変わらなければいけないという、サインなのです。

否定的な感情は自分自身が理性を失い、感情に支配されているとは断定できません。
現実に、うまく対処できていないだけなのです。

神経症の人はそれを理性を失い、感情に支配されていると断定しがちです。
その結果、悪循環に陥りがちです。

このような悪循環に関して、モデルにより述べます。
それはある夫婦の、夫の妻に対するコミュニィケーションの問題です。

結婚して3年ぐらいになる、共働きの夫婦です。
夫は妻と同じ部屋にいると、なぜか不安になります。妻に、特に不満もありません。

さらにその不安は、重くなってきました。
自分は「本当は妻を愛してはいないのかもしれない」という心配にまで、拡大したのです。

この心配も、感情に支配された悪循環でした。
カウンセリングを続けるうちに、本当の原因も浮かび上がってきました。

それはこの夫は、妻に遠慮して言わないでいることが多かったのです。
がまんしていたのです。

こころは自分自身を、ごまかしてしまいます。
このように夫の妻に対する遠慮やがまんは、歪められて「本当は妻を愛してはいないのかもしれない」という心配に変わってしまったのです。

このようにこの人は歪んだ「思い込み」により、自分で苦しんでいたのです。
それに気付く方法が、「こころにはしごを架ける方法」です。

この人も自分で、「こころにはしごを架け」たのです。
それは「『本当は妻を愛してはいないのかもしれない』ということに、どんな意味があるのですか?」
という質問から、スタートしました。

そこからカウンセリングのはしごを、のぼり始めました。
この夫は、「『本当は妻を愛してはいないのかもしれない』ということに、向き合いたくない」と答えました。それに対してカウンセラーは、「向き合わなければ、迷路をさ迷うだけです」と、述べたのです。

この言葉をヒントに、さらにカウンセリングのはしごをのぼり始めました。
そうすると夫は、自分が妻に遠慮して言わないでいることが多いことに気付きました。

この夫は、「本当は妻を愛してはいないのかもしれない」という不安により、自分の気持ちをブロックしていたのです。こころは、こうみょうに自分自身を欺くのです。

このようにこころは、こうみょうに自分自身を欺くので自分でいくら考えても解決しないのです。
そのための身体やイメージを用いた、カウンセリングがあります。

その身体やイメージを用いたカウンセリングを、ご紹介します。
現在の最も新しいカウンセリングでは、こころの問題は身体にもあらわれると考えます。

具体的にはその方法は布団か、ベットに寝て行います。
先ず寝た姿勢で、目を閉じるのです。

目を閉じたら、身体に気持ちを向けてください。
身体に緊張や違和感がないか、調べてください。

少しでも身体に緊張や違和感を感じたら、次のようにしてください。
その緊張や違和感を、意識的に強めるのです。

そしてそれは同時に、緊張や違和感の原因でもある感情に気持ちを向けることです。
緊張や違和感を意識的に強めながら、感情をとらえ返すのです。

とらえ返して、その感情をキャッチしてください。
緊張や違和感の原因でもある感情を、上手にキャッチしてください。

キャッチしたら、その感情にともなう視覚イメージをおもい描くのです。
次はその視覚イメージを、応用していくのです。

先ほどの結婚して3年ぐらいになる夫婦を、例に述べます。
前述のように夫は妻と同じ部屋にいると、なぜか不安になります。
この夫の視覚イメージは、「暗い部屋に一人ぼっちでいる」というものでした。

カウンセラーはその視覚イメージの原点である感情を、より感じるようにアドバイスしました。
その感情は「暗い部屋に一人ぼっちでいる」というものと、セットだからです。

すなわち
「妻と同じ部屋にいるときの言い知れぬ不安」≒「暗い部屋に一人ぼっちでいる」というものでした。

両者は密接に、結びついています。
よって視覚イメージを変化させれば、その原点である感情も変化します。

そこで視覚イメージである「暗い部屋に一人ぼっちでいる」を、チェンジするのです。
そうすれば「妻と同じ部屋にいるときの言い知れぬ不安」も、おのずからチェンジします。

そのチェンジのために、カウンセラーは次の質問をしました。
「奥さんと一緒にいて、最もおだやかでみたされた所はどこですか?」

その人は少し考えて、こう答えました。
「以前いった海、そう海辺ですね。」

この海辺のイメージを、「暗い部屋に一人ぼっちでいる」イメージとチェンジすればいいのです。
そこでカウンセラーは、次のように語りました。

「海辺にいま、奥さんと一緒にいます。」
「あなたと彼女は、強く抱きしめあっています。」

さらにカウンセラーは、次のように尋ねました。
「あなたは海辺に二人でいて、幸せですか?」

その人は、こう答えました。
「もちろん!その海辺では、ハッピーでした。」

これからはこのハッピーな感覚を、いかしていくのです。
そのためのイメージ法に進みます。

そのためにカウンセラーは、次のように語りました。
「あなたの海辺での、ハッピーなイメージを消してください。」
「消えたら目の前に、真っ白なスクリーンをイメージしてください。」

カウンセラーは、こう語ってから静かに間を取りました。
本人が真っ白なスクリーンを、イメージするために必要な間です。

カウンセリングを受けている人は、成長のための時が必要です。
多くの場合その人の周囲の人たちは、成長のための時を待てません。

さらに、述べます。




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