歪んだ神経症の「思い込み」をいかす方法 260

counselor

2012年12月29日 07:44

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今日も歪んだ神経症の「思い込み」をいかす方法について、述べます。

神経症の人は歪んだ思い込みに支配され、不安で身動きできない状態です。ただし不安になっているときは、歪んだ思い込みによる心配そのものはある程度ストップもしているのです。

認知行動療法では心配や不安に実際に、向き合うのです。
心配や不安の言いしれぬムードが増大しても、向き合うのです。これがポイントです。

向き合うと、一つの大きな事実に気付きます。
それは「心配していたほどのことはない」という、気付きです。

神経症の人の「思い込み」は、大きく歪んだものです。
現実にそれに向き合うと、「心配していたほどのことはない」ということの気付きます。

神経症の本当の解決は直接、不安や恐怖に向かい合うことです。
そうやって不安や恐怖を実感して、本来その不安や恐怖はそれほど心配することではないということに気付くことです。

そのためには、あえて過去に戻る必要もありません。
今だけを、あつかえば良いのです。を変えれば、過去も、変わっています。

そのために認知から入る方法を、述べました。
これからは行動から、入る方法を述べます。

多くの不安や恐怖は、イメージの中にあります。
そしてそれは記憶によるものが、将来にうつし出されたものです。

エレベーターに乗って、パニック状態になる人がいます。
その人は多くの場合、エレベーターでパニック状態を体験しています。

そのパニックのイメージが、記憶にとどまっています。
かつそれを常に思い出し、心配しています。

この思い出すことそのことが、パニックのリハーサルなのです。
リハーサルは不安と、その心配を固定化します。

その固定化された不安と、心配はさらに大きなものになっています。
悪循環のスタートにあたる、リハーサルをやめることが必要です。

逆にパニックのイメージを、常に思い出して心配している人には次の方法が有効です。
それは録音法です。

先ず紙に心配事に関する「最悪のストーリー」を自分で考えて、書いてください。
そのときに、できるだけ内容は悪く書いてください。

次にその「最悪のストーリー」を、録音します。
「最悪のストーリー」を一回、30分ぐらい聴きます。

そしてかつできるだけ一日、3回ぐらい聴けば理想的です。
この方法は、心配に慣れる方法です。

何ごとも慣れれば、それほど不快感はなくなります。
地下鉄に乗ると、最初はその音に不快感を感じます。

しかし音に慣れれば、不快感も減り消えます。
それと同じです。

不安や心配も慣れれば、不快感も減り消えます。
原理は同じです。

その「最悪のストーリー」の録音を聴き、不安に慣れるだけで良くなる人も多いのです。
次は現実に、エレベーターに乗ってください。軽いパニックの不安に、おそわれるかも知れません。

しかし録音により不安に慣れていれば、エレベーターの中で不安は以前ほど拡大しません。
軽いパニックの不安に、おそわれるだけであることが多いのです。

それでも不安におそわれたら、現実を小さなステップに分けて練習します。
この方法は、階段を上るように小さなステップを踏んでいきます。

具体的にはエレベーターで、1階ずつ昇るのです。
5階までエレベーターに乗ることを、例に述べます。

最初は、【1階⇒2階】だけエレベーターに乗ります。
残りの【2階⇒5階】は、階段を歩いていくのです。

それに不安を感じなくなったら、次は【1階⇒3階】だけエレベーターに乗ります。
残りの【3階⇒5階】は、階段を歩いていくのです。

このようにしてエレベーターに乗る階数を、増やしていきます。
そうすれば、自ずから歩いていく階数は減ります。

当然エレベーターに乗る方が、疲れません。
逆に歩いていく方は、疲れます。

その結果エレベーターに乗る方は、増えていきます。
逆に歩いていく方は、減ります。

こうやって、エレベーターに乗ることを増やします。
現実は 快↑ 不快↓ の方向に、動かされるのです。 

最終的には、最後までエレベーターに乗ることはできるようになります。
しかしながら、不安感の強すぎる人は異なる方法を用います。

それは、イメージを用いる方法です。
イメージの中で、エレベーターに乗るのです。

先ず「心身をリラックスする練習」を、行います。
そのリラックスした状態の中で、エレベーターに乗ることをイメージします。

当然、そのイメージの中でも不安感に襲われます。
そのときに、また「心身をリラックスする練習」を行います。

そうやってその不安を、イメージの中で正していくのです。
やがてリラックスは、身についていきます。

イメージの中でリラックスが身につけば、不安はイメージの中で正されます。
そのリラックスを、現実場面にも適応すれば良いのです。

イメージの中でハードルを下げて、現実に向かい合います。
疾病恐怖症の人も、原理は同じです。

ある若い男性は、「自分はエイズで死ぬかもしれない」と心配になりました。
性行為感染症に対する心配は、若い人に多いのです。

そこで、その「エイズで死ぬかもしれない」という心配の、解決に進みました。
この人の場合は観念、考え方のみの問題です。

観念、考え方のみの問題に対しては録音による方法が有効です。
録音できる機器を、用いる方法です。

多くの場合、携帯の録音を用います。
自分の心配を、直接録音するのです。

そのときに、だきるだけ「ストーリーのある話」にして録音してください。
ただ心配を、ダラダラと語っていくのではありません。

一つの物語として、完結させるのです。
心配を完結させるまで、問い詰めていくのです。

最後は、悲劇的な結果でかまいません。
疾病恐怖症の人であれば、病死したという物語でかまいません。

そういう自分で考えられる最悪の結果を、物語にするのです。
人によっては原稿用紙か、レポート用紙にストーリーを書いても良いですね。

「エイズで死ぬかもしれない」という心配の人は、「駅のトイレで感染したかもしれない」のようなことを根拠に始まります。

多くの人が利用する駅のトイレのようなところで、感染したかもしれないと心配するのです。そこから心配は始まり、拡大します。

あとはその人が、自分で心配の物語をつくり出すのです。
それを原稿用紙か、レポート用紙に書いても良いのです。

その「ストーリーのある話」を、録音してください。
その録音を、聴くのです。

さらに述べます。


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