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今日も、「強迫性障害に類似する障害の自己解決法」を述べます。
今日も、強迫性障害に類似する障害として抜毛症を述べます。
抜毛症も強迫性障害に似ていますが、異なります。
抜毛症も、こころのかゆみに関することです。
そのかゆみを、かかないようにすることが大切です。
抜毛症も、チックの改善に用いた習慣逆転法という方法が適応されます。
その習慣逆転法は5段階からなり、その5段階は意識化練習、拮抗反応の学習、リラックス練習、偶然性の管理、汎化練習です。抜毛症の習慣逆転法も、チックの改善に用いた習慣逆転法も基本的には同じです。
やはり異なる部分もあります。抜毛症に対する、習慣逆転法を述べます。
先ず意識化練習から、述べます。意識化練習には、メモ帳が必要です。
そのメモ帳を、常に携帯してください。
そして毛を抜いたら、「いつ、どこで、どうやって、どのような気持ちで毛を抜いた」を記録するのです。
メモするときに、ふと我にかえります。これは、メモすることにより毛を抜くことを意識化させるのです。それだけでも無意識的な行動は、気がかりな習慣に変わっています。これが意識化練習です。
この意識化練習の次に、拮抗反応の学習を行ってください。それは毛を抜くという習慣的行動に対して、拮抗する行動を学習することです。毛を抜くという習慣的行動には、一定の筋肉とその動きが関係しています。それに対して拮抗的に反応すれば、習慣的行動もストップするのです。よってその習慣的行動には手を髪に向かうのを妨げる動作が、拮抗的反応になります。そしてその動作を、2分間保ち続ければいいのです。
具体的には髪の毛を抜きたくなったら、両手をぎゅっと握るのです。握りこぶしをぎゅっと握るのです。
最初は髪の毛を抜きたくなったら両手をぎゅっと握り、時計を見ていてください。2分間たっても、髪の毛を抜きたい衝動が消えなかったら、さらに2分間続けます。
さらに2分間たっても、髪の毛を抜きたい衝動が消えなかったら、また2分間続けます。これを10回ぐらい、時間にして20分間ぐらい続ければ髪の毛を抜きたい衝動は自然に消えます。
さらに2分間という時間も、おおよそ把握できるようになります。
それができれば、もう時計は必要でなくなります。そうやって時間感覚を、身につけるのです。
髪の毛を抜きたくなったら両手をぎゅっと握ることは、髪の毛を抜くことに拮抗します。
その拮抗する反応を行い、身につけていくのです。究極的には髪の毛を抜きたくなったら両手をぎゅっと握ることなく、髪の毛を抜くことがなくなります。
ただし現実には髪の毛を抜きたい衝動は完全には消えないけれども、それに妨げられないで普通に生活できるようになる人が最も多いのです。それは、ほぼ9割の人に確認されます。
この方法を行うときは、意識的に姿勢を正して行うことが大切です。
その意識的な正しい姿勢のもとで髪の毛を抜きたい衝動に気付いたら、両手をぎゅっと握るのです。
正しい姿勢ゆえに、スムーズに実行されます。
次にモデルにより、述べます。
この人は女子高校生で、テストの勉強中に髪を抜きたい衝動に襲われます。
それだけではなしに、テストのときも髪を抜きたい衝動に襲われます。
テスト中に髪を抜くと、人からカンニングをしているかもしれないと誤解されることを恐れて、テストを受けることすらできなくなりました。このように神経症的な人はすべてがマイナス方向に向かい、迷路をさ迷うことになります。
この人の場合も自分の不安から逃げないで、テスト勉強をしてテストを受けることが本当に必要なことです。そのためには、認知行動療法も必要でした。
この人はテストの勉強中に髪を抜きたい衝動に襲われましたから、勉強をしているときに意識的に姿勢を正して勉強してもらいました。そして髪の毛を抜きたくなったら、握りこぶしをぎゅっと握ってもらいました。
そうやっても初めのうちは2分間たっても髪の毛を抜きたい衝動は消えないので、また2分間おなじことを続けました。この人はこれを5回ぐらい、時間にして10分間ぐらい続けました。その結果、髪の毛を抜きたい衝動は自然に弱まりました。
しかし「テスト中に髪を抜くと、人からカンニングをしているかもしれないと誤解されることの恐れ」は、残っていましたから、その解決に進みました。
その場合は、カウンセリングルームで模擬テスト行うのです。
これは、テストに対する不安のある神経症の人にすべて適応可能です。
テストと同じ状況で、認知行動療法を実施します。
この人の場合は、大学受験の模擬テストをカウンセリングルームで行いました。
テストの前にカウンセラーと意識的に姿勢を正し、髪の毛を抜きたくなったら握りこぶしをぎゅっと握ることを確認しました。この確認により、高校生に安心感を与えたのです。
カウンセリングルームでの模擬テスト中にも、髪の毛を抜きたくなりました。そのときには、握りこぶしをぎゅっと握りました。そうしても、高校生のこころの中に髪の毛を抜きたい衝動が残ることもありました。その場合は、また握りこぶしを強く握ったのです。
次回に、さらに述べます。